2023年10月、凸版印刷からTOPPANホールディングスに社名変更をし、持株会社体制に移行しました。これによりグループガバナンス強化によるグループシナジーの最大化を目指します。「人を想う感性と心に響く技術で、多様な文化が息づく世界に。」をTOPPANグループパーパスとして掲げ、各事業会社との連携を強め、協働・共創を通じて新たな価値創造をしていきます。

業種

Manufacturing

TOPPANホールディングス株式会社 導入事例効果

1. ビジネス背景:事業別の投資対効果を正しく把握したい
経営管理のDXを推進する中、投資対効果を把握するため事業別のROIC(Return on Invested Capital:投下資本利益率)管理をする必要があった。また、各事業部にデータがサイロ化している状況を変え、グループ共通の「信頼できる唯一の情報源」を提供できる環境を構築したかった。

2. 導入前の課題:大量のデータ処理に対応できるデータ分析ツールが必要
ROIC管理、営業情報の可視化を実現するためには、データ分析ツールが必須だった。以前導入していたツールはデータ処理速度が遅く、使い方が難しいためシステム部門での作り込みが必要で、期待するような切り口でのデータ集計や可視化ができなかった。

3. なぜDomo?:分析、加工、可視化の機能がワンプラットフォーム上に
必要な機能がオールインワンで揃っていること、複数のデータソースを統合して分析できることからDomoを選定。さらに2023年にはSAPを導入し、社内標準のBIツールとしてDomoを活用することに決め、全社の統一データ基盤とした。

4. 全社展開:丁寧に説明してDomoの利用部門を拡大
事業部に必要なダッシュボードを構築しながら、利用部門に説明を行った。先進的な活用法を他部門に横展開し、利用が拡大している。管理者向け、データ編集者向け、閲覧者向けのトレーニングも実施。

5. 導入後の効果:グループ共通のデータ活用基盤を構築。事業別のROIC管理が可能になり、全社的な管理水準も向上
Domoの活用が拡大し、グループ共通の「信頼できる唯一の情報源」の構築が実現。事業別のROIC管理ができるようになっただけでなく、全社的な管理水準が向上している。
財務部門では、手作業で行っていたスプレッドシートでの予算や実績管理をDomoで自動化し、運用・管理の工数を3割程度削減できている。

Toppanホールディングス Domo導入事例インタビュー
“Domo導入の最も大きな成果は、事業別のROIC管理ができるようになったことです。投資効果の判断指標ができ、意思決定が加速します。さらに、グループ全体で一貫性と透明性の高いデータを活用できる環境は、経営管理の質的向上のみならず、グループ会社間のシナジー効果にもつながっていきます”

吉澤 泰輝 氏 | 経営企画本部 経営基盤改革部 経営基盤改革チーム 部長

1. ビジネス背景:事業別の投資対効果を正しく把握したい

TOPPANホールディングスは、印刷テクノロジーをベースに情報コミュニケーション事業分野、生活・産業事業分野およびエレクトロニクス事業分野の3分野にわたり幅広い事業活動を展開しています。同社では、経営管理DXを推進しており、その一環として事業別の経営管理のための新ルールの策定、運用を進めています。

「導入を検討した2019年当時、事業別のROIC管理ができるように、会社全体で事業管理ルールを整備していました。損益だけでなく、投下資本に対してどれだけ効率的に利益を上げられたかを測定する必要があり、対応できるツールを探していました」(吉澤氏)

さらに経営管理のDXを推進するためには、データを統合し全社で共通のデータを活用できるようにする必要がありました。しかし、それぞれの事業部が独立してデータ管理していたため、データのサイロ化が発生していたのです。

「システムにあるデータをダウンロードして、手元のExcelで集計するようなローカルなデータ管理をしている状況を撤廃し、社内共通の正のデータを活用できる環境を目指しました。それが実現できれば、全社共通のデータに基づいて事業部ごとに必要な分析をすることが可能になるという期待がありました」(吉澤氏)

加えて、営業活動を見える化する必要がありました。

「営業部門では、Salesforceを使って案件管理をしていました。当時のSalesforceは、案件情報の見える化の機能が弱かったため、状況を把握するための分析ツールが必要でした」(吉澤氏)

2. 導入前の課題:大量のデータ処理に対応できるデータ分析ツールが必要

グループ共通の「信頼できる唯一の情報源」を実現し、事業別のROIC管理と営業情報を可視化するためには、データ分析システムが必須だったと振り返ります。

「マニュアル集計では、事業別ROICを計測することは難易度が高くて実現不可能でした。営業活動についても、営業の明細データはあるものの、ツールなしでそこから必要な切り口で分析して可視化することはできませんでした」(吉澤氏)

Domoの導入前に別のBIを導入したこともありました。

「大量の明細情報から集計したかったのですが、データ処理速度が遅くて、何分待っても集計結果が表示されない状態でした。また、使い方の難易度も高く、システム部門が作り込まないと、ユーザーが閲覧できないという課題がありました」(吉澤氏)

「2018年頃はクラウドネイティブな優れたBIツールがあまりなく、サーバーの構築が必要だったり、利用するPCのスペックで処理速度が左右されたりするような状況でした」(下田氏)

3. なぜDomo?:分析、加工、可視化の機能がオールインワン

データ分析ツールを導入するにあたって、4〜5製品を比較検討しました。Domoについては、データ分析製品を調査する中で知り、セミナーに参加して関心を持ち、導入候補としました。

「Domoに決定した理由は、データウェアハウス、ETLによるデータ加工機能、カードやダッシュボードなどのビジュアライゼーションが一つの製品で完結するからです。しかも他のツールと比較して、バブルチャートなどグラフの表現力が高く、我々が求めていることが実現できたのがDomoでした。

また複数のデータを連携させて分析できる点も評価しました。TOPPANは事業構造が複雑なためローデータを入れただけでは効果的な分析ができず、複数のデータソースを組み合わせて分析する必要があります。それができるのがDomoでした」(吉澤氏)

なお、2023年から統合基幹業務システムとしてSAPの導入プロジェクトを進めています。SAPの分析や周辺のデータ連携、帳票基盤を構築するにあたっても、Domoを活用することを決めました。

「SAPの導入を支援しているベンダーからは、別のツールを提案されました。大手企業では、プロジェクトや事業部単位でツールを導入するケースが多いですが、それでは全社データを統合的に活用することができません。そこで、すでに経営企画本部や財務部門で活用実績があり、評価が高いDomoを活用することを決定しました」(下田氏)

「データ分析だけでなくETLでデータの加工ができるので、データを活用する人自身が、データを加工して使えるという利便性に惹かれました。加えて、SaaSなので利用環境によらず処理速度が安定していることを評価しました」(江口氏)

4. 全社展開:丁寧に説明してDomoの利用部門を拡大

導入当初は、経営企画本部、デジタルイノベーション本部、財務本部で毎週打ち合わせをしながら、事業別ROICの集計のために、どのデータをどのタイミングで取り込むべきか議論をしながら、ダッシュボードを作成しました。

「事業別ROICだけでなく、事業部ごとの管理に必要なカードの作成を現在も続けています。現在は、売上データ、損益データ、経費データ、在庫データ、SAPデータ、Salesforceなど、さまざまなデータを連携して分析しています。Domoのデータ加工のETLがとても便利で、使い倒しています」(吉澤氏)

「コネクターが充実しているので、SaaSなど多様なデータをコネクターで連携できるので、これまでデータ連携で苦労したことはなく、とても助かっています」(江口氏)

導入から4年かけて、少しずつ社内の認知を拡大し、活用を拡大してきました。

「各部門の担当者にDomoの使い方を説明して、活用部門を広げてきました。ダッシュボードを見せて、データ分析のやり方を伝えると興味を持ってくれます。特に在庫データは、事業別、クライアント別、エリア別など、さまざまな切り口で推移が理解でき、最新の納入予定を取り込んだ在庫の予測値がわかるので、多くの事業部で重宝されています」(吉澤氏)

「事業部からカード作成の依頼があると、デジタルイノベーション本部でデータの投入を行い、経営企画本部がデータの見せ方をとりまとめています。複数のデータを組み合わせると、これまでは見えなかった新たな気づきが得られます」(和田氏)

「Domoは、仮のデータでカードを簡単に作成できるので、ゴールを具体的に示して説明できます。言葉では伝わりづらくても、ダッシュボードを見せると『うちの事業部でもやりたい』と意欲的になります。推進する立場として合意形成が早く、イメージが確実に伝わる点もメリットです」(向井氏)

「Domo上で範囲指定を変更してリアルタイムでグラフを変更できることを示すと、便利、簡単という声が上がります。直感的に操作できるので特に若い世代には抵抗がなく、利便性が高いです」(藤森氏)

なお、経営企画本部ではDomoの社内トレーニングも実施しています。

「各事業部とグループ会社の管理窓口担当者向け、データ編集権限のある担当者向け、閲覧者含む全ユーザー向けのトレーニングを実施しています。管理者には何を管理するのかを勉強会を通して伝え、編集権限のある人にはデータ統制の観点からルールを守って編集することを伝えています。閲覧者含む全ユーザーには、基本的な使い方のトレーニングを用意しています」(吉澤氏)

5. 導入後の効果:グループ共通のデータ活用基盤を構築。事業別のROIC管理が可能になり、全社的な管理水準も向上

Domoの活用が拡大するに連れ、グループ共通の「信頼できる唯一の情報源」が実現しつつあり、さまざまな効果を感じています。

「最新データを使って事業別のROIC管理ができるようになったことが最も大きな成果です。ROICを比較し、投資効果もより明確になりましたし、評価指標を作ることができました。

もう一つは全社的な事業管理の水準が上がっていることです。一部の事業部が実施した先進的な管理方法が有効であれば、他の事業部にも水平展開しているからです。複数のデータソースを連携させて、これまでできなかった新しい視点からの分析ができるようになったことも大きな変化です」(吉澤氏)

「2023年から新経営管理基盤であるSAPの財務データをDomoに連携したことで、今までの予算と実績管理のExcel集計を完全に廃止しました。これまでのRPAなどで自動化していましたが、Domoになったことで運用管理という点で2−3割の工数削減ができています。他にも集計の自動化をしたいという声がある業務が多数あるので、実現できれば社内全体で業務効率化が図れます。また管理職同士でこれまでExcelで共有していた情報がDomoで共有できるので、利便性が上がっています。DomoのPDP機能も便利で、機微なデータはアクセス制限をかけています」(和田氏)

「クラウドサービスなので、インフラ、ネットワーク管理の負荷が低く、サービス提供、コンテンツ管理にリソースを割けることにメリットを感じています」(山下氏)

“Domoを社内のデータ活用基盤として採用することで、情報のサイロ化を防いでいます。Domoにより社員全員が同一のデータを把握・活用できる環境を整え、全社的なデータ活用を促進することが経営DXにつながります”

下田 泰之 氏 | デジタルイノベーション本部 IT基盤センター センター長

※記載内容は2023年10月に行なった取材内容に基づくものです。

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