Domoで複数システムをつなぎ信頼できる唯一の情報源(SSOT)とデータ分析を実現
1. ビジネス背景:3社の買収後、複数システムが混在する環境に
世界一公平で専門性の高い人材サービス会社を目指すランスタッド。日本では複数の会社を経営統合しながら成長してきた。各社が保持する基幹システムをいかに統合し、従業員が使いやすく効率性の高いシステムにできるかを課題としていた。
2. 導入前の課題:レポート作成にかかる工数が膨大に
Single source of truth(信頼できる唯一の情報源)が実現できておらず、複数のシステムが混在している環境下で組織全体のビジネス状況を把握するには、レポート作成のために工数がかかり過ぎる、また、データの持ち出しなどのリスクがあった。
3. なぜDomo?:柔軟にカスタマイズができ、使いやすさの点から選定
複数の製品を検討した結果、柔軟にカスタマイズできる点や異なるデータソースを組み合わせられること、トレーニング不要で使えるユーザビリティ、ビジュアルの良さからDomoを選定した。
4. 定着化:経営陣がDomoを使うことを徹底
必要なレポートのみをDomoに移行し、利用状況を見ながら改善した。経営陣が従業員にDomoを積極的に活用するように勧め、Domoの利便性を理解した従業員がファンとなり、他の従業員にも広めていった。
5. 導入後の効果:データの組み合わせで売上予測がより正確に
従業員に関するデータや採用状況を可視化し人材採用に生かす、求人件数と求職者のデータを組み合わせてランスタッドのビジネス状況を把握するなど、さまざまな目的で活用し業務効率化などの効果を実感している。

1. ビジネス背景:3社の買収後、複数システムが混在する環境に
世界最大級の総合人材サービス会社であるランスタッド。世界一公平で専門性の高い人材サービス会社を目指して、世界各国でサービスを提供しています。日本には、97拠点あり、日本全国をカバーしています。
「日本のランスタッド社は、過去に3社を買収して急成長しました。Domoを導入した2018年ごろは、急速な採用拡大により従業員が大幅増加していた時期でもありました。
買収後は、それぞれの会社が使っていた基幹システムが継続して稼働していました。そのため同じ目的でも、部署によって異なるフロントシステム、データソースが使われている状況でした。フロントシステムはミドルオフィスシステム、さらに財務システムのようなバックオフィスシステムに接続していますが、データはシステムごとに独立していました。その後、システムの統合を進めましたが、現在でも一部のシステムは部署によって異なっています」
複数のシステムが混在しながらも、ランスタッドの経営層やリーダーは、一つの組織として日々のビジネスを推し進め、また進捗を管理していく必要がありました。
2. 導入前の課題:レポート作成にかかる工数が膨大に
Domoを導入する以前は、さまざまな課題があったと振り返ります。
「Single source of truth(信頼できる唯一の情報源)が実現できておらず、同じ業務であっても異なるシステムが複数稼働している環境でビジネス状況を把握するには、それぞれのシステムから手動でデータを収集し、使用できる形に加工し、それから統合して集計する必要がありました」
最も大きな課題は、レポート作成工数が膨大になっていることでした。
「ビジネス状況を把握するために、時間をかけてレポートを作成しなければなりませんでした。部署やリーダーによって確認したいデータが異なるため、社内には人事データ、業務関連データ、マーケティング関連データなど、数百以上のGoogleスプレッドシートがありました。他の業務も抱える従業員がレポートを作成するために、複数のシステムからデータをダウンロードし、抽出し、統合するといった作業に、多くの時間を費やしていることは大きな課題でした」
セキュリティ上の課題もありました。
「当時はGoogleスプレッドシートにアクセスできる人は、別のシートにコピーするなど社外への持ち出しのリスクもありました。会社にとって情報漏えいはセキュリティの脅威なので対策が必要でした」
3. なぜDomo?:柔軟なカスタマイズ性と使いやすさから選定
Domoを導入するにあたっては、CIOのリーダシップも必要だったと言います。
「当時のCIOがデータ利用状況を改革することを決めました。その時のCIOのプレゼンテーションに、スプレッドシートを印刷して貼り付けていた私のノートの写真がありました。これは『このようなレポートはやめよう』という経営層からのメッセージで、象徴的なプレゼンテーションでした」
システムの導入にあたって、4-5社のプロダクトを選定して、絞り込んでいきました。
「最終的にDomoを導入することに決めたのは、Domoが柔軟にカスタマイズできる点を評価したからです。データ分析チームがレポートを設定すれば、経営陣や部門のリーダーがいつでもどこでもデータにアクセスできますし、フィルタリングやドリルダウンをして自分が見たいデータを表示できます。財務データと業務データなど、異なるデータソースを組み合わせて分析できることもポイントでした」
もう一つの選定要素は使いやすさでした。
「特別なトレーニング不要で、誰でもすぐに活用できます。データをビジュアライズできるので、スプレッドシートで見るよりも早く、正確に現状を把握できます」
4. 定着化:経営陣がDomoを使うことを徹底
Domoを導入するにあたって、まず行ったのは社内に存在する数百を超えるGoogleスプレッドシートで作られたレポートの棚卸しでした。
「それぞれのレポートを何のために作成しているのか、どんな意思決定に使われているのかを精査して、本当に必要なデータのみをデータ分析チームがDomoで見られるように設定しました。データ分析チームが作ったダッシュボードのアクセス解析を見て、誰がどのレポートをどれくらい見ているのかを確認しました。レポートを見ていない人には、なぜ見ないのかをヒアリングし、レポートの改善に役立てました」
定着させるためには、経営陣自らがDomoでデータ分析を行うことを指示しました。
「部下がGoogleスプレッドシートを使って私に報告してきたら、却下しました。Domoを使って報告するように徹底したのです。まずは、GoogleスプレッドシートではなくDomoを使うように従業員の行動を変え、行動に合わせてマインドセットを変えていくことが重要でした」
Domoの定着化はスムーズだったとのこと。それは、社内のアーリーアダプターがエバンジェリストになったからです。
「Domoを使った人は、直感的な使いやすさを理解しファンになります。アーリーアダプターは、すぐにDomoを使い始め、他の従業員にDomoの利用を勧めてくれました。勧められた人もファンになり、他の人に勧めます。これを繰り返していくことで、Domoでデータをチェックすることが当たり前のこととして定着しました」
さらに、Domoを使うことをトップダウンで決めたことも大きかったと振り返ります。
「日本の場合、一度ルールが定められると、多くの人はルールを守る特徴があります。そのため、半年ほどで定着し、Domoはレポートの代名詞となりました」
5. 導入後の効果:データの組み合わせで売上予測がより正確に
Domoを導入して、必要な時に必要なデータをリアルタイムで確認できるようになりました。活用例の一つは、従業員データを人事業務で利用することです。
「従業員に関するデータの可視化に活用しました。従業員の職歴、勤続年数、担当地域、業務データ、活動データ、売上実績などをデータとして追跡するようにしました。さらに業務データと財務データを組み合わせて、組織から部門、従業員までドリルダウンしていき、個人のパフォーマンスやアウトプットを確認することもできます。
そして新規雇用という観点から、どのチームに新しい人材が必要なのか、採用のペースをいつ落とせばいいのか、どのチームが採用に成功しているのかを分析し、人材採用活動のアクションの参考にしました。以前は雇用に関するデータは、データ分析チームが四半期ごとにレポート作成していましたが、今ではリアルタイムで把握できます。その結果、意思決定までの時間が大幅に短縮できました」
ランスタッドのビジネス状況を把握するためにも、Domoを活用しています。
「求人件数のヒートマップを作成し、各地域における職種別の求人件数の増減を可視化しました。そのデータに求職者のデータを組み合わせて、需要と供給を分析し、営業戦略に生かしています。売上予測がより正確になりました。
求人状況をバブルチャートで見ることもあります。スプレッドシートのデータを数字で見るのと違って、ひと目で状況を把握できるようになり、意思決定が早くなりました。」
その他にも、マーケティングキャンペーンの効果測定、エンゲージメントスコアと業績の関連の分析などでもDomoを活用しています。
「このようにさまざまな業務でDomoを活用しています。経営層や管理者層、部門のリーダーたちは、数字の羅列に恐れることなく、グラフを使ってデータを理解し、チームと対話できるようになりました」
※記載内容は2023年8月に行なった取材内容に基づくものです。