オムロン株式会社は、オートメーションのリーディングカンパニーとして、工場の自動化を中心とした制御機器、電子部品、駅の自動改札機や太陽光発電用パワーコンディショナーなどの社会システム、ヘルスケアなど多岐にわたる事業を展開し、約120の国と地域で商品・サービスを提供しています。

オムロン株式会社 Domo導入 成功事例

1.ビジネス背景:表計算アプリで行う、部品の不具合発生状況モニタリング

オムロンでは、製品を構成する部品(購入品)で発生した不具合に対して、各事業が対応を実施することに加え、本社品質部門が各事業の情報を集計して全社的に波及性のある不具合の対応を行っている。本社品質部門の業務においては、データ分析担当者が基幹システムから各事業の不具合データをエクスポートして表計算アプリで集計した後、改善担当者へ2週間に一度、直近の不具合発生リストとして メールで配布していた。直近データだけではそれ以前の不具合件数の増減等を把握することができず、品質不具合の正しい影響度が把握しきれないことから、データ分析方法の改善が必要であった。

2.導入前の課題:改善アクションまでに時間がかかる、表計算アプリでの集計の限界

本社品質部門の改善担当者は、従来、直近の不具合発生リストをもとに過去の記憶や経験を頼りに当該不具合の影響度と対策実施の判断していたため、緊急性や重要性などの正確な判断が困難であった。正確な判断を行うためには、さらに過去の発生履歴や購買情報等を収集して表計算アプリで詳細分析を行う必要があったが、これらの情報は社内に分散しており、表計算アプリでの集計・分析作業に限界を感じる状況であった。そこで、新たにBI製品を導入してオムロン全社の購入部品に関する不具合データ分析の仕組みを作ることとした。

3.なぜDomo?:自分で作れることの重要性

はじめはDomoとは別のBI製品を導入検討したものの、頻繁に発生するモニタリングダッシュボードの修正を外注することによる待ち時間が発生。そのためビジネスユーザーも使いやすいUIを持ち、自分たちでダッシュボードをメンテナンスできるDomoを選定。Domoの使い勝手は、「表計算アプリでできることは全部Domoで簡単にできますし、表計算アプリが使えれば Domoも使えます。」とのこと。

4.定着化:データ分析をBI製品導入の目的にしては駄目!データ活用はアクションを見据えたモニタリングから

巨大な表計算ファイルを少しずつDomoのETLやグラフに置き換えていき、 周囲に表計算アプリよりDomoの方が便利だと理解が広がる。モニタリング→気づき→深堀り分析→改善アクションのデータ活用サイクルが徐々に定着。最初からデータ分析にこだわるのではなく、まずはきちんとモニタリングができるということが重要。データ活用サイクルの考え方を分かっている人を増やすことも重要。

5.導入後の効果:脱表計算アプリ、ツークリックでリスク発生から改善アクションまでのリードタイムが1/3以下に短縮

モニタリングが常時可能になり、週または日単位でリスク検知の活動ができるように。また改善アクションに繋げるための詳細分析にかかる工数もツークリックで99.9%削減。リスク発生から改善アクションまでのリードタイムを1/3以下に短縮することに成功。またメンバーのデジタルリテラシーが上がり、その中からDomoを使ってDX化を自発的に進める人材も出てきた。

オムロン株式会社のインタビュー先

“Domoなら⾃分でETLやダッシュボードを改修できるので、必要なモニタリングをすぐに開始できます。⼀⽅、他社製BI製品では改修のための委託が必要なため、費⽤や時間がどうしてもかかってしまいます。この差は⼤きいです。”

大村 英一 | グローバル購買・品質・物流本部 品質監査室 サプライヤ監査部 主査

 

1.ビジネス背景:表計算アプリで行う、部品の不具合発生状況モニタリング

「オムロン株式会社」と聞いてどのような事業を思い浮かべますか?どの家庭にも1つはある、体温計や血圧計を思い浮かべた人は多いでしょう。我々の健康的な生活をサポートしてくれるヘルスケア事業ももちろん主力事業の一つですが、工場の自動化を中心とした制御機器、電子部品、駅の自動改札機や太陽光発電用パワーコンディショナーなどの社会システムなど多岐にわたる事業を展開し、「事業を通じて社会価値を創出し、社会の発展に貢献し続けること」を存在意義として活動しています。

オムロンのグローバル購買・品質・物流本部 品質監査室 サプライヤ監査部 主査 大村英一氏は、長年半導体デバイス等の設計・開発に携わった後、2020年11月に現部署へ異動し、品質監査業務に従事しています。

そして異動してすぐ、上司からある相談を受けます。

「品質パフォーマンスをモニタリングする仕組みを作りたい」

品質監査室は本社にあります。大村氏が異動してきた当初の品質監査室では、2週間に1回、基幹システムからデータをエクスポートして表計算アプリで集計し、担当者に不具合発生リストをメールで配布していました。しかし配布している情報は不具合発生リストのみと、品質パフォーマンスを測るには不足していました。また直近2週間の情報のみを配布していたため、それ以前と比べた数値の増減を把握することができず、モニタリング内容にも改善が必要な状況でした。

Domo導入事例 資料1

 

2.導入前の課題:改善アクションまでに時間がかかる、表計算アプリでの集計の限界

メールの不具合発生リストを受け取った担当者は、「確か前にも同じようなことがあった」という記憶や、「不具合の内容的にリスクが大きいのではないか」という経験から、リスクの度合いを判断していました。しかし不具合発生原因や対応の優先順までは判断できなかったので、2週間ごとに分かれている過去分の表計算ファイルを一つずつ開いて、内容を確認していました。

「リスクに対応する改善アクションを行うためには、部品に関するデータを仕入先別、製造時期別、不具合種類別、過去の不具合発生頻度…など、様々な観点から確認して、不具合発生原因を突き止める必要がありました。これらのデータを揃えて表計算アプリで多軸の原因分析を行うと、改善アクションまでにどうしても1週間程度のリードタイムがかかっていました。部品の不具合発生のモニタリングは2週間に1回、その後の原因分析で1週間、つまりリスクの発生からその改善アクションまで、3週間近くのリードタイムがかかっていました。」

また、改善アクションまでのリードタイムだけではなく、関連する他部署との協働にも課題感を持っていました。

「品質監査室が行なっているのは、部品単位のモニタリングです。しかしお客様に届けているのは部品ではなく製品です。そのため将来的に部品の不具合が製品、そして製品を手にしたお客様へ与えるインパクトも把握できれば、他部署ともさらに効率的な連携がとれると思っていました。」

すぐに改善アクションを行うことができ、他部署とも連携をとれる情報をモニタリングしていくには、どうしたら良いのでしょうか?必要なデータは品質監査室だけではなく、各事業部をはじめ他部署に散在していました。今までのように表計算アプリで集計する方法では、各部署にも作業負荷がかかり、改善アクションまでのリードタイムは短縮できません。そこで新たにBI製品を導入してモニタリングの仕組みを構築することにしました。

ところで、IT部門にもBI製品の導入を相談をしたのでしょうか?

「当社にも基幹システムの部門がありますが、多数の全社共通システムを管理していて、一部署がやりたいことをサポートしてもらうのは難しい状況でした。そのため今回は我々品質監査室がリードして進めていくことにしました。」

Domo導入事例 資料2

 

3.なぜDomo?:自分で作れることの重要性

品質監査室がリードすることを決め、探し始めたBI製品。初めはDomoとは別の製品を導入しました。しかしその製品はSQLやSDKベースの開発が必要で、開発未経験の品質監査室のメンバーには利用が難しく、途中で断念しました。その後のBI製品の再選定で5社を比較検討した結果、Domoを導入しました。

「脱表計算アプリ、ツークリック!を目標とし、自分たちで作れる、メンテナンスできることを重視しました。」

この選定基準は前製品の課題を解決し、改善アクションまでのリードタイムをできるだけ短縮するために設定しました。

Domoはノーコードでビジネスユーザーにも分かりやすいUIなのが良いです。Domoなら7、8割程度のベースとなるモニタリングダッシュボードができたら、残りの部分は自分で修正できます。これが他社製BI製品だと、ダッシュボードの少しずれている部分を直すのにも外注が必要で、さらに1〜2週間かかってしまいます。」

「どの製品でもおそらく最終的には同じゴールを得られると思いますが、他社だとリードタイムがもったいない。気がついたことがあったとして、Domoなら自分でETLやダッシュボードを改修できるので、必要なモニタリングをすぐに開始できます。一方、他社製BI製品では改修のための委託が必要なため、費用や時間がかかってしまいます。この差は大きいです。」

「経験上、外注先に最初から完璧な仕様書を出すのは難しいので、後から見逃した要件に気づくこともあります。またビジネス状況も頻繁に変わるので、モニタリングダッシュボードの修正は発生し続けます。だから自分たちでメンテナンスしたいのです。」

さて、ビジネスユーザーでも使いこなせるのがDomoの特長の一つですが、品質監査室で実際に使用してみて、どのくらいの難易度と感じられたのでしょうか?

「表計算アプリでできることは全部Domoでできますし、表計算アプリが使えればDomoも使えます。」

Domo導入事例 資料3

 

4.定着化:データ分析をBI製品導入の目的にしては駄目!データ活用はアクションを見据えたモニタリングから

表計算アプリでできることは全部Domoでできるといっても、当初は表計算アプリを手放せない方が多くいらっしゃったそうです。

「数年かけて巨大な表計算ファイルを作り上げた人は、業務で使えているのになぜDomoへ置き換えなくてはならないのかと、初めは強い抵抗感を示していました。」

逆風の中、大村氏はどのように周りの理解を得ていったのでしょうか?

「まずは巨大な表計算ファイルの作成者たちと、本当に実現したいことは何なのかを目線合わせしました。そしてそれを表計算アプリで実現できるのかと話をすると、実はその担当は表計算アプリの制限や限界を回避しようと、メンテナンスに苦心していたことがわかりました。」

「担当が作る表計算ファイルには項目が250個程もあり、部門の目標が変わったり、新しい情報が増える度に、それを全部ロジックで書き直していました。そこで、その250項目のうちまずは半分をDomoで自動化して見せたら、『あっ!Domoの方が便利だな』とすぐに気づいてもらえました。」

「元々表計算アプリを駆使して様々なことを実現していた優秀な方たちなので、Domoを少し触るとすぐにその良さを理解してもらえました。」

表計算ファイルの置き換えを進めていく中で、周囲の社員への教育も行なったのでしょうか?

「座学の教育は一切してないです。代わりにみなさんにDomoを体験してもらうプロジェクトを行いました。」

「品質管理と購買の表計算ファイルのうち、僕が知っている範囲で工数が多くかかっているものをピックアップしてDomo化することとし、各部署から2人ずつ、10人をアサインしてもらいました。」

「2週間に一度ミーティングを行い、各メンバーがDomo化するのを私がサポートして、半年経つ頃には1人1個以上の、12、3個のカードやダッシュボードができていました。」

体験プロジェクトが功を奏して、データ活用に興味を持つ社員が徐々に増えていきました。大村氏はなんと彼らに「データ分析しては駄目だよ」と伝えていると言います。

「データ活用はモニタリングにより気づきを得て、アクションをとることがゴールです。しかし目的を定めずに分析を始めてしまい、何か新しいことを見つけることがゴールと考えてしまう人が出てきました。」

「上司に対して、『データを分析したら○○ということがわかりました!』と報告したら、『だから何?それであなたはどうしたいの?』と言われますよね。仕事とはそういうものです。目的を定めずに分析してもアクションにはつながりません。そのため『分析だけでは駄目だよ、モニタリングから変化を読み取り必要なアクションをしよう』と繰り返し伝えました。」

 

5.導入後の効果:脱表計算アプリ、ツークリックでリスク発生から改善アクションまでのリードタイムが1/3以下に短縮

元々、品質監査室はデジタルリテラシーやDXリテラシーが0(ゼロ)に近い部門だったと言う大村氏。Domoを導入して、どのような効果が出たのでしょうか?

「まず、部品の不具合発生状況のモニタリング頻度が、2週間に1回から1週間に1回と、2倍に増えました。以前より1週間程早くリスクを把握できるようになりました。」

「次に、部品の不具合発生要因分析の作業工数が20時間から1分に99.9%も削減しました。また、モニタリング頻度向上と併せて、リスク発生から改善アクションまでのリードタイムが約3週間から1週間以下と、1/3以下に短縮できたことも大きな効果です。」

効果は品質パフォーマンスのモニタリングだけではありません。
メンバーのデジタルリテラシーが上がり、アナログな表計算作業からデジタルへの着実な変化を感じています。また今まで隠れていたデータ人材を見つけることもできました

「ぜひやりたいと手を挙げてくれたメンバーがいて、先述のDomo体験プロジェクトに入ってもらったら、こちらの想定以上の成果を出してくれました。例えば、製造業向けの帳票・ワークフロー 業務改革パッケージソフトのデータを読み込んでDomo上で表現する等、僕の発想を超えた提案をしてくれました。」

大村氏は品質監査室での実績を、今後は他部署へも展開していきたいと考えています。また将来的にはAIをDXに取り入れていきたいと目を輝かせます。

「AIを使って、例えば市場動向による事業変動インパクトを予想できたりするといいですね。」

品質監査室から始まったオムロンのDXは、Domoでこれからも進化していきます。

 
※記載内容は2023年4月に行なった取材内容に基づくものです

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