KDDI Domo導入事例 - Domo | ドーモ株式会社

Domoが複数の部署で効果を発揮。データドリブンな意思決定で物流部門でもコスト削減を実現

KDDI株式会社 Domo導入効果

1. ビジネス背景:中期経営戦略に基づくDX人財育成とデータ活用
KDDIの中期経営戦略に基づき、コーポレートシェアード本部ではデータやテクノロジーを活用して組織・業務の変革を推進する必要があった。一方、物流統括部でもデータ活用による配送コストの削減、配送の効率化が急務だった。

2. 導入前の課題:データ分析が様々な業務で求められるように
経営層にリアルタイムで経営情報を提供できていないなど、データ分析のスピードに課題を抱えていた。また物流統括部でも、物流の採算管理に工数がかかっており、業務改善にはデータのリアルタイム性が不可欠であった。

3. なぜDomo?:半年のPoCで活用方法、使いやすさを検証
2018年度に6ヶ月間のPoCを実施した。非IT部門である経理部が自らでPoCを進め、若手メンバーを中心に業務でのさまざまな活用方法を見出し、ビジュアライゼーションの圧倒的なわかりやすさ、簡単に使える・作れる点を評価して導入を決定した。物流統括部は、社内の複数の導入事例を見て2021年より活用開始を決めた。

4. 定着化:Domoの導入経験が以降のSaaSツール導入の知見に
非IT部門で導入を行ったため、導入後すぐに社内セキュリティ要件を満たしていない点があり、それをきっかけにIT部門と膝をつき合わせた議論ができるようになり、同時にそれまでナレッジが全くなかったSaaS導入に関する知見も得ることができた。また伴走サポートするDomoのコンサルタントからもアドバイスを貰いながら、Domoの定着のためのステップを想定し、社内への浸透を図っている。

5. 導入後の効果:配送コスト増の要因を特定。対策の結果省コスト化を実現
配送コストの増減要因を多角的に分析した結果、コスト増の要因を特定した。対策を実施し、省コスト化を実現。データの管理項目数は従来の4倍になり、データが精緻化している。今後は、現場に根ざしたDXを目指す。

KDDI Domo導入事例インタビュー
“業務のデジタル化から、トランスフォーメーションを加速し、現場に根差す活動をしていきたいと思っております。今後若手メンバーを含めてDomoの活用を広げていく予定です”

寺内宏允 氏 | 購買本部 物流統括部 東日本物流センター 業務運営グループ グループリーダー
“トランスフォーメーションするには、人の意識改革が重要です。コーポレート統括本部は、PoCを通してDomoによる業務効率化を自発的に行うようになり、さらにメンバー同士でナレッジシェアをしました。社内に先駆けて、何かを生み出して影響を与えて変化を作ることが業務改革のコアであり、おもしろさだと実感できました”

鳥井太貴 氏 | コーポレート統括本部 コーポレートシェアード本部 コーポレートDX推進部 BPR推進グループ グループリーダー

1. ビジネス背景:中期経営戦略に基づくDX人財育成とデータ活用

KDDIでは、2022-2024年度の中期経営戦略として「サステナビリティ経営」を根幹に、事業戦略とそれを支える経営基盤の強化を推進しています。中期経営戦略に従い、コーポレート統括本部では「①カーボンニュートラル実現」「②人財ファースト企業への変革」「③ガバナンス強化によるグループ経営基盤強化」を施策として掲げています。

「②においては、全社員のDXスキル向上とプロフェッショナル人財の育成を目指しています。③については、2022年4月より、コーポレートシェアード本部を新設し、グループにシェアードサービスを提供している他、グループ全体としてリスクマネジメント体制・情報セキュリティ体制を強化し、サテライトグロース戦略の推進に伴うグループ会社および事業の多様化を踏まえたガバナンスを強化しています。こうした施策を実施するにあたって、DX人財の育成、データ活用の定着の必要性が高まっていました」(鳥井 氏)

物流統括部においても、DX人財の育成が急務でした。

「社内のあらゆる商材の配送を担う物流統括部では、入出荷管理の大量のデータを保有しており、配送コストの削減、配送の効率化にデータを役立てられないか模索していました。2021年4月より管理会計の基準を作り、費用計算の精緻化とRPAによる自動化を進めていました。そのような中で、コーポレートシェアード本部がデータ活用による効率化に成功していることを知りました」(寺内 氏)

2. 導入前の課題:データ分析が様々な業務で求められるように

同社がリアルタイムにデータ分析ができるプラットフォームを検討し始めたのは、2015年末にさかのぼります。

「2015年に基幹システムを刷新して業務改善をするとともに、経営管理、購買本部、情報システム本部共同で業務改革プロジェクトが発足しました。リプレイスするだけでなく、業務効率化、品質向上のために、経営層にリアルタイムでデータを提供できるダッシュボードを検討しました。というのも、経営会議にあわせて経営情報を1週間に1回提出していましたが、資料化したデータと現実にタイムラグがあったからです。本来は、経営陣がリアルタイムのデータをいつでも確認できるべきでした」(鳥井 氏)

他にも各部門、業務でデータ分析に課題を抱えていました。物流統括部では、採算管理、DX推進をミッションとした、物流企画グループが立ち上がりましたが、年間数百億円のコストがかかる配送コストをExcelで集計するのに膨大な工数がかかっている上、データをうまく活用できていないという課題がありました。

「物流統括部では、全国のauショップや量販店への商品の配送、オンラインで購入した個人への配送、法人への配送、携帯電話基地局の資材の搬送など、物流全般を担っています。しかし、年間計画に対しての配送コスト増減の要因が、販売数の変動によるものか、配送業務の効率化による効果か判断がつかないなど、データの精度が高くありませんでした。増減の要因はExcelで分析していたため、手作業で毎月多くの工数が掛かっていましたし、報告が遅れることもありました」(寺内 氏)

3. なぜDomo?:半年のPoCで活用方法、使いやすさを検証

BIツールを検討する中でDomoを知り、業務での活用方法と使い勝手を検証するために2018年度に6ヶ月間のPoCを実施しました。

「本当に経営管理業務に使えるのかを検証するために、まずは経理部の若手中心のメンバーに自由にDomoを使ってもらいました。その結果、経営層に必要な情報をリアルタイムで届けられ、次のアクションにつなげられることがわかりました。加えて、マルチデバイスで見られること、コミュニケーション機能があること、ローコードでカードを加えられるので、スキルが高くなくても利用できる点を評価しました。当初のテーマのうち、自分たちでは実装できないものがありましたが、Domoのコンサルタントに相談しながらできるだけ自らで実装できるスキルをみにつけることを目指しました」(鳥井 氏)

「PoCで、Domoのビジュアライゼーションの圧倒的なわかりやすさに驚きました。そして、Excelで作業をしていた人がDomoを使うようになって、SQLなど必要なスキルを学び始め、DX人財に変わっていったことを感じました」(鳥井 氏)

物流統括部が導入を検討した時には、すでに社内に活用事例がありました。

「2021年度にコーポレート統括本部DX推進部のDomo事務局に相談すると、Domoの活用例を見せてもらいました。データのビジュアライゼーションを見て、迅速な意思決定が可能になると判断しました。加えてデータ分析のためのExcel作業の工数も削減できると期待がありました」(寺内 氏)

KDDIのDomo選定ポイント

4. 定着化:Domoの導入経験が以降のSaaSツール導入の知見に

Domoの導入は、非IT部門である経営管理本部が主導して行いました。2018年当時は、経営管理本部でSaaSを導入した実績がほとんどなく、導入をきっかけに必要なセキュリティ要件を整理検討することになりました。

「ローコードツールは、KPIに責任を持つ部門が主導しないと定着しません。そのため、私達が主体的に導入しましたが、IT部門からセキュリティ要件について確認があり、利用を一時停止したことがありました。しかし、これをきっかけにIT部門との連携が強まり、リスク管理、セキュリティ要件を整理でき、その後のSaaSツール導入のモデルケースとなりました」(鳥井 氏)

「業務効率化のツールを導入する場合、社内への浸透は課題となります。Domoのコンサルタントから、定着化のステップや将来的に定着化を阻む要因について、アドバイスを貰いそれが役立ちました。我々がどう進めていいかわからないところを、一緒に未来を考えて伴走してくれたことに感謝しています」(濱口 氏)

なお、活用例の一つに、異なるシステム間のデータをDomoで統合管理することがあります。例えば、グループ会社がSaaSの会計ソフトで支払い処理の伝票を登録した後、本部で稟議と比較して予実管理をします。稟議は別のシステムを使っているので、Domo導入以前は承認された予算に対して、いくらまで使っているのか、正確な予実管理ができていませんでした。そこで、双方のデータをDomoで統合することで効率的に予実管理することが可能になります。

個別のシステムだけでは解決できない課題に対して、Domoを使ってデータを統合して可視化することで解決できることがあります。ある機能が足りないとき、Domoを使えば補完できないかを考えるようになりました」(鳥井 氏)

KDDIのDomo導入前と導入後

5. 導入後の効果:配送コスト増の要因を特定。対策の結果省コスト化を実現

2018年の導入以来、経営層への経営情報のリアルタイム提供、複数のSaaSのデータ連携による新たな情報の可視化などで効果を発揮しています。最新の事例として、2021年に導入した物流統括部の活用ケースを紹介します。

「運送コストの増減要因を分析するにあたって、Domoのコンサルタントに複数の仮説を伝え、出荷明細、商品マスタなど必要なデータを提供し、探索的な分析をしてもらいました。何度か議論を重ねた結果、配送料を上げる要因として、オーバーサイズとクロス出荷の2つが見えてきました」(寺内 氏)

オーバーサイズとは、本来60サイズの梱包箱で配送きる商品にチラシを同梱するため、一つ上のサイズで送っているという実態でした。チラシを印刷後半折した状態で納入するように依頼したところ、適切なサイズで配送できるようになりました。

「データ分析からコスト高の要因を見つけ、改善すればどれくらいの効果があるのかをシミュレーションした上で、現場とも調整してExcel使用時にはできなかった改善アクションをとることができました。現場の担当者に聞けば、コスト高の要因は見つけられたかもしれませんが、対策した結果どれくらいのコスト削減効果があるかまでは判断できません。定量的なデータをもとに改善の意思決定ができました」(寺内 氏)

KDDI、Domoを利用して配送コスト削減

もうひとつの要因であるクロス出荷とは、拠点を越えた遠距離配送が発生することです。東日本配送センター、西日本配送センターがあり、それぞれ東と西に配送していますが、商品によっては在庫が一方にしかなく、遠距離を配送せざるを得ないことがあります。クロス出荷の発生をデータ化し、在庫の適正化などで対応していく予定です。

「約1年かけて多角的に検証を行いコスト増減の要因を突き止めました。分析前に、RPAで業務の自動化をしていたので、データを蓄積できDomoでの分析に活用できました。単価、ピック数など管理項目は45個あり、それをもとに採算、予実管理、利益率などがダッシュボードに表示されます。以前は手作業で毎月多くの工数をかけてExcelで処理していましたが、今はデータを手動で登録すればすぐに分析されて工数は4割減ですが、管理項目数は4倍になり、データが精緻になりました。今年度中に、各種データは自動連携できるようになる予定です」(寺内 氏)

「これまでは、運営活動における採算管理/コスト削減活動のPDCAを回す初期フェーズは完了したので、物流センター内のオペレーション業務のデジタル化に挑戦し、今後はさらに現場に根ざしたDXを現場と一緒に考えていきたいです」(寺内 氏)

「今年度から、全社員にDomoの閲覧権限を付与しました。物流部門での成功事例を全社的に周知しながら、各部門がデータ分析をする民主化を果たしたいです。すでに研修を年6回実施していて百数十名が参加しています。ビジネスを理解する人が自ら動いてDomoを活用できるようにしていきたいです」(鳥井 氏)

※記載内容は2023年6月に行なった取材内容に基づくものです。

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